院長コラム

2016年7月の記事一覧

子宮がんについて(検診の大切さ)

2016年07月28日


 子宮がんは、子宮の入り口の子宮頚部という部位に発生する“子宮頸がん”と子宮内膜がんと呼ばれ赤ちゃんを育てる子宮内部の内膜に発生する“子宮体がん”があります。
 子宮とは、下腹部の中央に西洋梨を逆さにした様な形で中は空洞で外部とは膣に繋がった状態で存在します。子宮がんは、約20?30年位前では 子宮頸がんが90%位でしたが、近年、食生活の西欧化などにより子宮体がんと子宮頸がんが同じ位の割合となっています。
 子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が90%と言われ、日本では年間9000人近くの人がかかり、2700人もの人が亡くなっている病気です(10日に1人は亡くなっている計算)。性行為が若年化したことより20?30歳代の若い女性がかかり、女性のがんの中で乳がんに次いで多い病気です。
 1980年代にハウゼン博士がHPVを発見して、ワクチンの開発が行われました。ワクチンを接種することで子宮頸がんの90%が予防されているという報告があります。
 子宮頸がんの検査は、子宮の入り口(頸部)の細胞をこすって取る細胞診とHPV検査があります。細胞診による検査は、性行為があれば20歳代から2年に1回することが推奨されています。しかし日本は年間24%の女性しか受診しておらず受診率80?90%の先進国に比べ受診が低い国となっています。
 症状は、初期は無症状ですが、進行してくるとオリモノの増加・性器出血などが起こります。初期で発見すると円錐切除といって子宮を残して子宮頸部を切るだけの手術で済み、その後の妊娠も可能です。しかし進行した場合には子宮を全て取り、抗がん剤・放射線治療が必要になり、妊娠ができなくなってしまいます。
 近年は、20歳代の人のかかる率が上昇し、妊娠ができる年齢で子宮を取ってしまう大変不幸な結果となる人が増えています。
 子宮体がんは、毎年約6000人が発病し主に閉経付近(50歳位)にかかる病気でしたが、現在は40歳以下にも増えています。原因は、肥満・高血圧・糖尿病などで、予防のためには普段の食生活に注意が必要と言われています。
検査は子宮内の細胞診・組織診で、子宮体がんの症状として一般におりものの増加・月経不順・性器出血が起こります。初期に発見されるとホルモン治療で治りますが、進んでくると子宮を全て取り抗がん剤の治療が必要となります。
 子宮体がんの早期発見には、おりものが増え月経不順を感じた時点での受診が必要です。
 つまり、子宮がんは、初期に発見することが大切です。若いうちから検診を受けることをすすめます。

                         久松 和寛

                              

産後メンタルヘルスへの取り組み その1

2016年07月16日

 近年、パニック症候群・うつ病などの合併症をもった妊婦さんが増加傾向にあるように感じられます。
 今回、廿日市市保健推進課の主催の「産後うつとは?治療と対策・かかわり方?最近の産婦人科事情?」というテーマで廿日市ママフレンド(母子保健推進員)研修会での講演依頼をお受けするにあたり、産後の妊婦の精神的なケアに関してまとめ、当院のアドバンス助産師野原と共にお話しさせていただきましたのでご報告をします。
          
マタニティブルー  発症時期: 産褥3?5日  
            症状: 突然悲しい気持ちになり涙がでる
                不眠・やる気がでない
              ⇒産後2週間で改善 治療を必要としない。
            原因: ホルモンの変化 約30%に発症
              * 産後うつに移行することもあり、注意。

産後うつ      発症時期: 産後1か月以内 
            症状: 赤ちゃんに愛情を感じない 
                食欲がない
                不眠・やる気がない
                自分がダメな人間にみえる。
                最悪、死を考える。
             ⇒数週間以上続く 治療:十分な休養・精神療法
                         薬物療法
        原因・要因: 精神科治療歴・望まれない妊娠
               新生児の要因(未熟児・先天異常)
               夫の協力がない。周囲の過剰な干渉
               育児について相談相手がいない
           種類: 双極性障害・・・?型・?型
               うつ病
               気分変調型・・・うつ病より症状が軽い

<対策・予防>   妊娠中  エジンバラ(EPDS)調査
           産後  育児チェックリスト・赤ちゃんへの気持ち質問票
               などでチェックし注意深く観察・指導
               几帳面な人になりやすいので、手抜きも指導。

  当院では、野原助産師を中心に、妊娠中の健診から産後2週間・1か月・2か月・3か月の乳児健診時にチェックリストと対話を通して、メンタルヘルスを行っております。
 ?次回、「産後メンタルヘルスへの取り組み その2」につづきます?
                           平成28年7月14日

無痛分娩による分娩

2016年07月13日

 パニック症候群、うつ病など私が医者になったころには考えられなかった合併症を
もった妊婦が増加傾向にあり、全妊婦の4%を占めるというこの頃です。
 以前より「ソフロロジー分娩法」にて何とか精神的安定を期待した分娩を行ってきましたが、
期待に反して分娩室が動物園状態になることがしばしばありました。
そこで、平成22年より当院では無痛分娩を開始しました。
昼間のお産を期待して、基本として計画分娩導入で開始しました。
まず初産婦は妊娠39週、経産婦は妊娠38週に誘発分娩を設定して、誘発予定の前日に
入院していただき、当日に陣痛誘発を行う方法をとっています。
誘発前日は午後3時に入院、バイタル・胎児の状態をチェックしたのち硬膜外チューブを
挿入し、麻酔のアレルギーチェックを施行後就寝していただきます。
翌日は絶食のため栄養補給としての点滴後、分娩誘発を開始します。
患者さんが陣痛の痛みを感じた時点で硬膜外チューブに局所麻酔薬を注入し、局所麻酔薬の入った
ポンプに接続します。
そして、痛みを感じたら患者さん自身がボタンをプッシュすることで痛みを感じないまま分娩へと
向かいます。
 平成22年から平成27年までの総分娩件数は約2400人、そのうち160人(6.7%)の方に行いました。
初産の方は全体の57%ですが、当院では初めに無痛分娩で出産されて第二子では施行しなかった例は
なく、無痛分娩を選択してよかったと思っていただけたのではないでしょうか。
分娩方法は正常経腟分娩が50%、吸引分娩が48%で内訳は胎児機能不全・回旋異常が10%、その他は
微弱陣痛によるものでした。
ポンプ使用で麻酔注入量が少ないとはいえ今後の課題と思っています。
 分娩は痛くて当然という昔ながらの考えも根強くありますが、今後もっと多くの方々に知って
いただけるよう機会があれば無痛分娩についてお話していきたいと思います。


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